やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2019/03/19
遡って受給した公的年金の所得の帰属年度

[相談]

 私は、ある会社の役員をしております(60歳のときに役員に就任しました)。
 役員就任以降、毎月50万円の役員給与を受給し、厚生年金に加入していたことから公的年金は一切受給できない(在職老齢年金)ものと思い、これまで公的年金を受給するための手続き(裁定請求)をしていませんでした。
 ところが、70歳になる今年、役員を退任することとなったため、管轄の年金事務所に裁定請求をしたところ、「老齢基礎年金(国民年金)」は役員給与を受給していても支給停止されないので、65歳になってからの過去5年分の老齢基礎年金を支給する、との説明を受けました。
 この場合、私は一度に5年分の老齢基礎年金を受給することになりますが、この5年分の年金収入は、受給した年の所得となるのでしょうか?


[回答]

 ご相談の場合、一度に支給された老齢基礎年金は、それぞれ本来の支給期日の属する年分の収入金額となるため、過去それぞれの年分の課税所得が再計算されることになります。


[解説]

1. 在職老齢年金とは

 我が国の公的年金制度は、基本的には、国内に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が加入する「国民年金(基礎年金)」と、会社などに勤務している人が加入する「厚生年金」の2階建ての構造になっています。

 一定の年齢に達したことを支給自由とする公的年金(老齢基礎年金、老齢厚生年金)の受給開始年齢は、原則的には65歳からですが、今回のご相談の場合のように、公的年金を受給できる70歳未満の人が会社に勤務し、厚生年金保険に加入している場合など一定の場合には、「老齢厚生年金の額+給与やボーナスの額」に応じて、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止となることがあります。この年金の仕組みのことを、「在職老齢年金」といいます。

 ただし、この在職老齢年金によって支給停止となるのは、「厚生年金(2階)」部分だけで、「国民年金(1階)」部分はその対象とはされていません。

 このため、給与を受給すると公的年金すべてが支給停止になると勘違いをしてしまっていた場合、後になって、過年度において受給できた年金(国民年金)をまとめて支給されることがあるのです。


2. 公的年金収入による所得の帰属する年度

 公的年金給付の受給権は、法律の定める受給要件(年齢など)を満たした時点で年金を受給する基本的な権利(権利)が発生し、その後、法律に定める各支給期日が到来することによって、実際に年金を受け取る権利(支分権)が発生します。

 公的年金の受給権者は、裁定請求をすればいつでも年金の支給を受けることができることから、税務上は、その支給期日が到来した時点の所得として計上することを原則としています。

 また、裁定請求の遅延によって過去にさかのぼって支払われる公的年金については、法律で定められた公的年金の各支給日の所得として計上することとされています。

 したがって、今回のご相談の場合のように、過年度に受給すべきであった公的年金を一時に受給した場合には、それぞれ本来の支給期日の属する年分の収入金額とされ、それぞれの年分の課税所得を再計算することになります。


[根拠法令等]
 所法36、所基通36-14、国民年金法18、厚生年金保険法36、46など


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